タイヤのグリップ力
タイヤと路面の接地面積ってどのくらいか知っていますか?せいぜい1輪につきハガキ大ぐらいしか無いんですよ。このわずかな面積で車を走らせ、曲げ、そして止めているのですからグリップ力には限界があるというのは何となく感じてもらえるのではないでしょうか。
最近、タテのグリップ、ヨコのグリップという言葉をよく耳にしますが、それぞれ何のことかと言えば、タテとは駆動力とブレーキ力、ヨコはコーナーリング力、つまり曲がる力です。タイヤのグリップ力の限界はこのタテとヨコのバランスの上に成り立ちます。
図1のグリップの限界点上を合力がトレースするようなバランスで走行することは、タイヤの性能を最大まで引き出していることと定義します。
つまりこのライン上でタイヤを使えることが究極の目標となりますね。
ここで仮定しますが駆動力100%とは真っ直ぐ走行していて曲がる事を考えていない時、つまりコーナーリングはしていない時のアクセル全開を意味し、ブレーキ100%とはコーナーに進入前の曲がる為にハンドルを切る前のフルブレーキングのロックした時点を意味することとします。
実際には100%というと別の方向へは0%、例えばアクセル全開で100%として全く曲がらないか?と言えばそうではなくハンドルは切れますよね。つまりありえないと思うんですよ、数字上の100%は。だから上記のアクセル全開状態を100%としますね。ただブレーキング時にはタイヤがロックすると言う現象がありますよね。このときにはハンドルは切れません。このことを100%としても良いと思います。細かい話しをすればですねロックしていなければ100%では無いとすればロックしていれば100%を超えていることと考えられますね。じゃあ100%は何処か?と言えば決められないと思うのであえてロックした時点を100%とすることにして考えてください。
そうすると直線のあとコーナーリングする為にブレーキングするのはタテに100%では曲がれないので減速してタテの割合を減らし、曲がる力としてのヨコの割合を増やす為ということが理解できますね。
またブレーキでロックしたのにブレーキを離せというのはそのする事によってヨコに曲がる力を出させる為ということも理解できると思います。
次にグリップの限界点でコーナリング中にアクセルと踏む(つまり駆動力を足す)とグリップの限界点を超えてしまうので車は横滑りしてしまうでしょう。(FFならフロントが、FRならリアがね)
図1と同じコーナーリング力の時に駆動力(アクセル)を増やした図です。両方のベクトルの合力はグリップの限界点を超えてしまっているのがわかりますね。駆動力をここまで掛けたいのであればコーナーリング力を減らさなくてはならないことも理解できると思います。
当然、タイヤのグリップ力というのはタイヤにかかる荷重によっても変化しますので前項の「荷重移動」を理解しタテ、ヨコのグリップを上手く使う事が重要になってきます。
そのグリップの限界点はどの様に体感したらいいのでしょうか?まずは「わざと」限界を超えた走行をしてください。つまりハンドルを切っても曲がらないアンダーステア、そしてアクセルを踏んでも前に進まないオーバーステアを体感することから始めましょう。限界を超えることが出来ればあとはそれを抑えることで限界点は見えてきます。