シフトチェンジ

世の中8割方はATになってしまいましたが、ここでは当然MTの話しになります。まず心がけて欲しいのが「スムースなギアシフト」です。あたかもATに乗っているかのような滑らかなシフトチェンジ。同乗者がいるときはその人に「いつシフトチェンジしたの?」と思わせるぐらいの操作を目指してください。


● 操作方法

まず、操作方法について考えてみましょう。ギアを変えるときはアクセルとクラッチを使いますよね。要するにシフトチェンジはアクセルとクラッチ操作との連携プレイになるわけで、それが上手くいけばいいんです。普段は何気なくクラッチを切ってシフトレバーを動かしてシフトチェンジしていると思いますが、ここに大切なコツがあるんですよ。

まずエンジンをかけた静止状態でいいですからギアをニュートラルにした状態でクラッチを切ってからギアを1速に入れてみてください。そうです普段どうりの操作だと思います。車種によっては入りにくいものもあるかもしれませんね。で、同じことをするのですが今回はクラッチを「切る前」にシフトレバーを1速の方へ軽く押しておいてください。それからクラッチを切ってください。どうです?あれっというぐらい軽くギアが1速に入りませんでしたか?こうすれば力は要りません、軽く押すだけで入るのです。(理屈はシンクロの機構に及びますがここでは省きます)

では逆にシフトを抜いてみましょう。まずは普段どうりアクセルを抜いてからクラッチを切りシフトを抜きます。この感触を忘れないうちに次はクラッチを切る前にシフトを抜く方向へ軽く押しておきます、音がするほど動かしてはダメですよ。で、アクセルをスッと抜いてみて下さい。どうです?クラッチを切らなくてもギアが抜けたでしょう。この操作にクラッチを切るということを合わせれば、力など入れなくてもギアは抜けます。

この一連の操作がスムースに出来るまで練習してください。そうすれば余分な力も要らず、また車にも優しい運転が出来るようになります。


● ギアの守備範囲

まず各ギアの守備範囲を調べてみましょう。レッドゾーンまで回したとき速度は何キロ出ているのか?またそれまでの回転数で例えば1速3千回転なら何キロ、同4千回転なら何キロというふうに目安は頭にいれておいてください。そしたら高速道路などで80キロ巡航で速度は変えずにギアを2速から5速まで使ってみてください。シフトアップの場合はアクセルを緩めればいいので簡単ですが、シフトダウンのときは回転数を補うためにアクセルを煽らなくてはなりません。この加減を体で覚えてほしいのです。下のギアになればなるほど多く煽らなくてはならないでしょう。そこが完璧に出来るまで練習してください。80キロができるようになれば、違う速度でも実行してください。この練習が次へのステップへとつながります。


● ヒール・アンド・トゥ

コーナーに進入の際、例えば小さなヘアピンコーナーを想定しますが、2速で進入しているとしますね。そのコーナーは2速で回れないことは無いですが立ち上がりではエンジンの回転数が下がってしまい失速してしまいます。そうならない為にもコーナーを立ちあがるまでに1速にシフトダウンしておけば鋭く立ちあがることが出来ますよね。そこで思い出してほしいのが2速と1速の回転数の関係です。2速70キロからブレーキングして減速、1速の守備範囲は45キロまでとしましょう。ならば45キロ以下になるまではシフトダウン出来ませんね。ここに気づいていない人が多いです。シフトダウンはブレーキングの最後の方で良いんですよ。回転数が落ちきっていないのに下のギアへとシフトしてしまうとレッドゾーンへと突入してしまいます。レッドゾーンというのは回転数を上げて行くときにはリミッターがかかりますが、シフトダウンに伴い強制的に回されるときは遠慮なく入れられてしまいエンジンに深刻なダメージを与えてしまいまので注意してくださいね。

話しを戻して2速でブレーキングしながら40キロまで速度を落としたときに回転数が3千としましょう。1速に置きかえると5千とします。その差2千回転。そのままつなげば「ギャン!」というギアの悲鳴とともに駆動系にダメージを与えてしまいます。そうならない為にもつま先ブレーキで減速中、クラッチを切っているときにアクセルをかかとで煽って回転数をあげてやるのです。アクセルを煽ったとしてもクラッチをつなぐまでのタイムラグを考慮して2~300回転多めに煽ってください。そうしてつなげば変速ショックはありません。アクセルを煽る時にいちいちタコメーターなんて見てられないですよね?だからここら辺の加減は練習しかありません。頭で考えるより体に覚えさせるしか無いんです。

高等技術としてあえて2~300回転「下」でつないでシフトロック気味にして、より減速し、しかも車の向きを変えるという技もありますが当分先の話しになると思います。

ヒール・アンド・トゥで難しいのがブレーキングです。どうしてもアクセルを煽る時にブレーキングがおろそかになり踏力が一定でなくなってしまいます。すると本来の目的であるブレーキングをしながらシフトダウンを済ませるということが出来なくなります。気軽に使われるこのテクニックですが極めるのは大変難しいのですよ。